むちおの異変に気付いたのは、ちょうどひと月前の7月末のことでした。
その頃私は、新しい職場に来て半年。どうにも社の方針に馴染めずに、
また新しい職場を探して面接を繰り返し受けていました。
仕事終わりに遠方まで出かけていたので帰宅も遅く、土日も疲れて寝てばかりで
今思えば、むちおのことを少しおろそかにしていたかもしれません。
ともあれ、久々に早く帰ったある日
玄関まで迎えに来たむちおが、いつものサラダバーで食べてる背中を見て
あれ?なんだか痩せたなぁと思い、いつものように身体を撫でまわしていたら
背中にぷっくりと膨らんだそれを見つけました。
大きな水ぶくれのようなそれは、触ると動き、柔らかく、力強く押すと潰れそうでした。
触ってもむちおは、全く痛がらず気にするそぶりは見せませんでした。
その日の写真です。
![IMG_3459[1]_convert_20120915233055](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/2012091523465386f.jpg)
今思えば、この日も草むらでへたり込んでしまい
寝ながら草を食べていました。
![IMG_3468[1]_convert_20120915232350](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/2012091523465355f.jpg)
私はびっくりして、ものすごく不安になり、猫飼い仲間に聞きました。
「年取ってくると脂肪の塊みたいなのが出来る」
「動くのなら大丈夫だよ」
そう言われて少しほっとして、それでも翌々日には病院に連れて行きました。
それが7月28日のことでした。
この頃のむちおは、寝てばかりいました。
でも普段から寝てばかりだったし、夏はいつも部屋の中で行き倒れているから
今年は年とって体力落ちたのかな、ぐらいに思っていました。
![IMG_3499[1]_convert_20120915234323](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/2012091523465322f.jpg)
それでもご飯は食べていたので、さほど深刻に思わず診察に行きました。
![IMG_3517[1]_convert_20120915234457](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/20120915234653a61.jpg)
先生は「こういう風にガッチリ付いてなくて動くものは、悪いものではないことが多いですよ」。
そう言いながら、細胞診に出すためそれに針を刺しました。
「あれ?血が出てくるね。変だね。」
針を刺すと、そこには血液が入っていたようで
抜くと少し膨らみが小さくなったような気がしました。
その血液自体はキレイな物だったらしく「どうしてだろうね?」
先生も首をひねっていました。
ラボから検査結果が届いたのは、それから1週間後でした。
結果は白、特に変わったものは見当たらなかったとのことでした。
このまま一ヶ月様子を見て、自然になくならないようであれば
手術で切除するしかないですね。食欲のないのは、、夏バテですかね。
水分はしっかりとらせて上げて下さいね。
ともかくホッとして家に帰り、それから数日は穏やかに過ごしました。
しかし数日後、今度は喉のあたりに膨らみを見つけました。
今度のものはより大きく、前より固いものでした。
急いでまた診察へ。ちょうど私の誕生日、8月11日のことでした。
簡易検査をした先生は、また前と同じものですね、と言い
委縮するかもしれないから、と注射をしました。
これでまた様子を見ましょうと。
その2日後、私はまた別の個所にしこりを見つけました。
この日むちおは朝から元気がなく、ぐったりしてご飯も食べませんでした。
夕方、診察に行ってまたしこりを見つけたことと、
元気がないと言うと、むちおの鼻を見るなり先生は
「これは貧血起こしてるかもしれないぞ」
そう言って、血液検査をすることになりました。
「かなり深刻な貧血状態です。動くのもやっとでしょう」
![IMG_3819[1]_convert_20120916002403](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/20120916002432195.jpg)
そう言って渡されたデータは、
赤血球、血小板、ヘマトクリット、ヘモグロビン
全てが正常値を遙かに下回っていました。
「急にはならないから、きっと徐々に低下していったのでしょうね」と言われ
そういえばここのところ、極端に動きが鈍かったことを思い出し
ごめんごめんと診察室でむちおに謝りながら、ボロボロ泣いてしまいました。
レントゲン撮影すると、腫瘍は他にも見つかり身体全体に5カ所ありました。
腰のあたりには、とても大きなものがあり、私も先生も
あまりに大きなものだったので、それがシコリだとは気付いていませんでした。
腫瘍の原因が何かわからないので、対処法もなく
とにかく貧血状態を改善するために、それから毎日ステロイドの注射を打ちに
通院することとなりました。
むちおのピンクだった鼻と肉球はこの頃には
![IMG_2646[1]_convert_20120915233936](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/20120915234654f28.jpg)
すっかり血の気を失い、白くなってしまい
![IMG_3621[1]_convert_20120915232751](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/20120915234652c80.jpg)
それまでは猫の顔色が悪いのなんて、どうやってわかるのだろうと思ってましたが
朝むちおの顔を見ると、表情や目の輝きで調子がわかるようになりました。
どうやら腫瘍部分が、どんどん血を食べているのではないかとのことでしたが、
今の健康状態だと検査が出来ないのでどうしようもありません。
ちょうどお盆休みだったので、朝から晩まで出かけずにむちおをずっと観察していました。
![IMG_3791[1]_convert_20120915234852](https://blog-imgs-46-origin.fc2.com/m/u/t/mutio/20120915234917675.jpg)
3日続けて通院し、貧血は改善はしないけど下降は止まったようなので
今度は自宅でステロイドの錠剤投与を始めました。
鉄剤も処方されたのですが、合わなかったようで吐いてしまいました。
その後も通院を続けて、検査・注射を繰り返すも
むちおは全く良くならず、お風呂やトイレに引きこもる日が続き
とうとうカツオブシしか口にしなくなりました。
通院の度に体重は、100グラムずつ落ちていきました。
目に見えて弱っていくむちおに何もしてやれず、
すっかり通院が怖くなったむちおは、私が抱くと漏らすようになり
毎日申し訳なさと無力感に苛まれ、むちおに泣きながら謝っていました。
泣きながら少し食べてくれと私がご飯を差しだすと、いつもむちおは困った顔をして
ひとくちふたくち舐めてくれました。そんな時でも、優しい子でした。
何か解決策が見つかるかもと、セカンドオピニオンを受けてみることにしたのは
8月25日のことでした。
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- 2012/09/16(日) 01:10:25|
- むちおと私の長くて短い一週間
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むちこさん、それはつらい・・つらすぎる・・(T-T)
近くにいたらハグしてあげたい・・・
気持ち悪って言われるかもしれないけど・・
- URL |
- 2012/09/16(日) 01:46:47 |
- サクラ #-
- [ 編集 ]
そうか・・。しこりか・・。むちこちゃん、更新ありがとう。むちおさんはいいこだね。
- URL |
- 2012/09/16(日) 02:11:17 |
- asa #Bgt0Z.yc
- [ 編集 ]
むちこさん。おかえりなさい。
たいへんだったね。
私、大人の歳くった人間だけど、
自分ですごい貧血になっても、貧血だなんてちっとも気が付かなかったんだよ。
階段登ると息切れして、ぜんそくがひどくなったなあと、のんきに思っていた。
いくらしても息切れがなおらなくてなんかへんな肺の病気かと
血液検査、
そしたらビックリするような数値だっていわれて
ただちに原因検査と投薬。
おんなじ、少しずつ下がるんだよっていわれた。
わからないぐらいずつ数値が下がって症状が出る。
だから本人だってひどくなるまで気が付かないの。
むちおさんもきっと私とおんなじ。夏バテだなあって思ってただけと思うよ。
むちこさんが分からなかったなんて悔んだりしなくていいよ。
私はずっと耳鼻科に通ってたんだよそれぐらいのわからなさ。
そして鉄剤を飲んでもすぐには改善せず
弱よわで職場にも面倒かけた。
胃カメラものんで、婦人科系も、全部調べたけれどけっきょくわからずじまい。
あっかんべーをして白かったら貧血だってわかるよといわれて
むちおさんとおんなじね。
こんな簡単なことでわかるのかっておもった。
自分のことをブログに書いてたら、むちこさんが読んで、むちおさんが貧血ってわかったかなあ。
むちおさん、ごめんよ。
だれかが、むちこさんのブログ読んで、猫の貧血について
覚えてくれると思う。
私も、今読んで、猫と人と貧血の見分け方まったくおなじだって思った。
むちおさんは、きっと貧血の子をたすけるよ。
すまん、自分のことを長く書いてすまん。
しんどくてもむちおさんは
ふかふかでお手てもまんまるで綺麗な子だった。むぎゅだよむぎゅ。
- URL |
- 2012/09/16(日) 04:16:05 |
- かまど猫 #-
- [ 編集 ]
しんどくても経過を書いておくのは大切だと思います。
今は「間に合わなかった」と感じてしまっているだろうけれど
むちこさんは出来ることはきちんとやっていたよ。
すべての症状を見分けることはお医者さんだってできない。
それに
もしかして、どこかの猫さんの症状に気づくきっかけになるかもしれない。
書く事でまたお腹がアツくなって、胸がきゅっとしめつけられて
涙がこぼれてしまうと思うけれど。
このころのむちおさんも、きっとむちこさんのことを心配していたような気がします。
- URL |
- 2012/09/16(日) 04:45:14 |
- しまねこ #SMhuFLDY
- [ 編集 ]
むちこさん、アリガトウ。
腫瘍に貧血....
何か異変に気づいた時って、もっと早く気づけばよかったって思うけど
それが一番最速で気づけたんだと思うよ。
むちおさんもむちこさんを悲しませたくないから、頑張って少しでも
食べてくれたんだね。
- URL |
- 2012/09/16(日) 05:10:24 |
- mogu07 #dsgD8nx.
- [ 編集 ]
むちこさん、更新をありがとう。
むちおさんを心配し通院しながらもお仕事も苦労されて、辛い日々を過ごされていたんですね。
むちおさんとむちこさんが大好きです。
- URL |
- 2012/09/16(日) 06:01:57 |
- ゆんぼば #-
- [ 編集 ]
むちこさん、更新ありがとうございます。
記事を読みながら泣いてしましました。
むちおさんを思い出して辛いと思うのに
がんばって書いてくれてありがとうございます。
ねこさんの貧血って肉球であんなにも色が変わるんですね。
私も今日からくぅとなつの体を触りまくって検査してみます。
どうかご自分を責めないで。
うちの姉も15年連れ添ったねこを亡くした時はずいぶんと自分を責めていました。
その子はエイズが発症し最後は口の中に口内炎が出来て血を吐いて死んでしまったので、
姉にしてみるとどうしてそうなるまで分からなかったを悔やんでいました。
でも責めないでください。
むちこさんはむちおさんのために精一杯やったんですから。
気の利いた言葉が思い浮かびませんが、
私もむちおさんとむちこさんが大好きです。
- URL |
- 2012/09/16(日) 10:24:06 |
- くぅなつママ #-
- [ 編集 ]
ちわり、腫瘍(肥満細胞腫)になったことがあります。ほっぺです。
すごく小さい、ほんとに何ミリの頃に見つけたのに、
ちわり凶暴なのでお医者さんが診ることが出来ず、
もう少し様子をみましょうと言われ、ハイハイ言うこと聞いて帰ってしまいました。
そんな小さい出来物でも嫌な気持ちがして病院嫌いを連れて行ったのに、
「様子を見てる」うちにどんどん大きくなって、結局腫瘍であることがわかり手術しました。
その時に何かあったら、どんなんに悔やんだかとも思うし、
また、そんな腫瘍が出来るなんて、なぜだろう、何が悪かったのだろう、
食べ物?もっと運動させるべきだった?シャンプー剤のせいってことはない?って、
すごく色々考えたけど、ちわりの全てを、わたしがどうこうすることなんて出来ないんですよね。
出来ると思うほうがずーずーしいんだもんね!
すぐに病院へ行き、大丈夫だろうと言われてほっとしたのもつかの間で、
その後の不安を思うと、コメントの文章がまた支離滅裂になりそうだけど…
むちこさんは、むちこさんの出来ること全てしたと思う。気付いたのも早いと思います。
きちんとした文章読んで少しほっとしました。
きちんとした文章を書けているからほっとしたのではなくて、
こうやって書いたことが少しはプラスになっているに違いないと思うので。
大変だと思うけど…続きもしっかり読ませてもらうからね!
- URL |
- 2012/09/16(日) 12:57:48 |
- yuki #vh/yKwqE
- [ 編集 ]
こんな時には飼い主は無力感に襲われるんだよね。私も昔一緒にいたロンロンが胸に水がたまってどんどん弱っていく時に病院に連れて行くのもツラいし家で見てるのもツラいし逃げ出したくなりました。最後までたいへんだったけど、穏やかな顔で行った時には、もうネコとは暮らすのはツラいと思いましたが、時間が癒してくれて今は新しい家族と暮らしてます。この子たちはまた早く逝くかもしれないけど、癒してくれてます。決してロンロンを忘れたわけではないけどね
- URL |
- 2012/09/16(日) 14:06:29 |
- はるちん #ZKb723qc
- [ 編集 ]
むちこちゃん、更新ありがとう。
お医者様もはて?と思うくらいの症状だったのね。
moguさんも書いてるけど、このタイミングが最速のタイミングだったよね。
むちこちゃんとむちおさんのお互いの愛情をとっても感じることが出来るね。
困った顔をしてごはんを舐めてくれるむちおさんったら優しすぎるわ。。。
むちおさんにはむちこちゃんが、むちこちゃんにはむちおさんが。本当に素敵な関係だね
- URL |
- 2012/09/16(日) 18:20:07 |
- ぷく姐 #jgcPGE0c
- [ 編集 ]
こんばんは。
むちこさんが書いた、むちおさんの記録が
同じ症状で悩むネコちゃんと飼い主さんを救うこともありますよね。
むちこさん、書いてくれてありがとうございます。
むちおさん、こんなに一生懸命愛されてしあわせだったね。
だったねじゃないや、今でもしあわせだね。
- URL |
- 2012/09/17(月) 00:53:50 |
- まゆげ恋二郎 #LkZag.iM
- [ 編集 ]
読ませていただいてます。
その日、その時の写真があるってこと、すごいことだ…。
- URL |
- 2012/09/17(月) 21:07:56 |
- べじ1 #-
- [ 編集 ]
また書きながら泣いてるんだろうな
前の記事を読んで慰めの言葉が浮かばなくてコメント出来なかったんだ
そっかしこりが次々に出来たんだ
つらいね
みてる飼い主もつらいね
そんな病気もあるんだ
むちこちゃんは最善を尽くしたと思うよ
むちおさんの最後ちゃんと付き合うから
また書いてね
- URL |
- 2012/09/17(月) 21:51:05 |
- こぱんだぱん #-
- [ 編集 ]
むちこさんすごいよ…アタイ9ヶ月経った今もまだ書けずにいるよ…
というより、思い出してまた悲しくなって泣くことが嫌で、アタイはただ逃げてるだけだなって
むちこさんの記事読んで思った。
むちおさん、リュウと同じ病気だったのかな。
病気が見つかる5ヶ月前の血液検査で、ちょっと貧血気味かなって言われた。
でも心配するほどのことではないでしょう、とも。
でも、今思えばあのときすでにリュウの身体は病魔に蝕まれ始めてたのかもしれない。
毎日身体を拭いてたのに、しこりにも気づいてあげられなかった。
周りが気遣ってかけてくれる優しい言葉を理解してるし、ありがたいとも思ってるんだけど、
もし心の中にいくつか部屋があったとしたら、自分を責める気持ちとは別の部屋に届いてた。
大切な存在を失った人を哀しみから救えるのは時間しかないんだろうなって思う。
でも、深い哀しみの淵にいても、アタイも含め、同じ気持ちを共有できる仲間がたくさんいることを
ふと思い出してくれることを願いつつ、見守ってます。
- URL |
- 2012/09/18(火) 18:26:30 |
- なつ姉 #A1MTkRFE
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むちおさんのことを書くにはまだまだ辛くて辛くて、
そんな気持ちを吐き出すように綴っているんだろうな。
でもこうして更新していること、嬉しく思います。
むちこちゃんとむちおさんの事を思うと涙があふれてくるけど、
私もずっと付き合っていきます。
- URL |
- 2012/09/18(火) 22:14:45 |
- はむゆみ #HS5l7qlE
- [ 編集 ]